「基本セット2015」考察
前回の更新からすっかり二ヶ月経ってしまった。
発売前から外部デザイナー・カードや番外カード、「第4回カードを作るのは君だ!」の企画に対戦キットの登場など意欲的な試みが多数発表された「基本セット2015」もいよいよ発売となった。
収録カードの面でも前後のブロックとのシナジーだけでなく《ヘリオッドの巡礼者》のように設定的な意味でも繋がりのあるカードのほか、《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》や《ダークスティールの城塞》のような独特の能力を持つ再録カードや、《巣主スリヴァー》という五色カードの収録、《新たなるファイレクシアの魂》、《ギルドパクトの体現者、ジェイス》のような以前のブロックのストーリーの続きを示唆するカードなどが盛り込まれている。
基本セットの舞台となるシャンダラーに関する地名以外を排除し基礎的なカードが多数盛り込まれた「基本セット2010」とは対照的に、いい意味で基本セットらしからぬ構成となった「基本セット2015」について考えてみたいと思う。
セット内容を見てまず目についたのはアーティファクト関連の存在感である。
「基本セット2012」以降は基本セットにも例外的に1枚だけコモンのアーティファクトが収録されたこともあるが、「第6版」~「基本セット2011」と「基本セット2013」で1枚もコモンのアーティファクトが存在しなかったことを考えると、4枚ものコモンのアーティファクトは異例といえる。
単純な枚数として見るとコモンの4枚は確かに少なく、アーティファクト枠でのアンコモンとレアの枚数は近年とあまり変わらず、神話レアも3枚に増えただけではあるのだが、《ダークスティールの城塞》や《爆片破》のような強烈な関連カードの再録によって存在感を確たるものにしている。
新規カードも最速2ターン目に5/5で攻撃することができる《アーティファクトの魂込め》や、アーティファクトに召集を与える《主任技師》、アーティファクトの起動型能力をコピーする《オナッケの古きもの、クルケッシュ》などの個性的な顔ぶれが揃っており、「基本セット2015」の大きなテーマの一つと見ることができる。ドラフトでも青赤アーティファクトが一つのアーキタイプと公式が認識している模様。
《ゴブリンの手投げ弾》が再録された「基本セット2012」では直後のイニストラード・ブロックの存在もあってかスタンダード環境で同居したゴブリンはそう多くはなかったものの、それでも構築実績を残していたことを考えると、アーティファクト関連デッキがスタンダードのカードプールとどう影響し合うのか気になるところである。
「デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ」が公式にMTGの入門編として意識されるようになってからは、基本セットがゲームから紙のマジックへの橋渡しという役割を与えられるようになったことは公式のコラムでもたびたび触れられている。
その過程で基本セットにも対応するストーリーが与えられたり、過去に登場した次元を(各次元の「魂」サイクルのような形で)再度ピックアップする試みも公式記事の「基本の日々 その2」で解説されている。
生けるギルドパクトとなった《ギルドパクトの体現者、ジェイス》、鎖のヴェールの呪いを受けた《頂点捕食者、ガラク》などのプレインズウォーカーや、《守護天使アヴァシン》、《解き放たれし者、オブ・ニクシリス》のような伝説のクリーチャーが本セットの大きな目玉となっている。
キーワード能力やメカニズムの再録は今回もあり、召集とスリヴァーが再登場している。
召集はセレズニア用の能力だったことから白と緑にしか存在しなかったが、今回は全ての色とアーティファクトに登場しており、《召喚の調べ》を代表とした再録カードも存在する。
全体的なデザインの印象としては、巨大なクリーチャーの軽減手段としての側面が強かったラヴニカの時とは違い、色の役割に沿ったカード(白の場合ライフ回復の《瞑想パズル》など)+白、赤、緑の軽量コンバット・トリック+白、緑のトークン戦術になっているように感じた。
個人的には直前のテーロス・ブロックの「神啓」との組み合わせや、部族統一デッキなら全体に+2/+2修正が見込める《ウルドのオベリスク》に注目している。
基本セットに収録される二色地形のは(全ての二色の組み合わせが登場する場合を除けば)友好のもの色というのが通例になっているが、今回は対抗色のものとなっている。
次のブロックの発売と共に入れ替わりでスタンダード落ちする「ラヴニカの回帰ブロック」は素の前の「イニストラード・ブロック」の時点で友好色・対抗色がどれも平等になるように土地(M10ランドと2色コストの起動型能力土地)が配置されていた。
ラヴニカの回帰でショックランドの登場が遅れた色の組み合わせをテーロスでの占術土地で優遇したように、今回は小神サイクルの登場の遅くなった敵対色の補填をしつつ次のブロックの二色地形を友好色にするための方法だと想像していた。(イニストラード・ブロックのブロック構築での土地基盤が対抗色中心になってしまったというコラムがあったはずなので)
だが次のタルキール・ブロックは対抗3色(アラーラの有効3色の「弧」に対する「楔」の組み合わせ)が中心とのことなので、それを前提とした収録なのだろうと思われる。アンコモンに登場したタップイントライランドの別バージョンが期待される。
タルキール覇王譚では「変異」も復活するとのことなので、多色ブロックとどう共存させていくかも楽しみである。
発売前から外部デザイナー・カードや番外カード、「第4回カードを作るのは君だ!」の企画に対戦キットの登場など意欲的な試みが多数発表された「基本セット2015」もいよいよ発売となった。
収録カードの面でも前後のブロックとのシナジーだけでなく《ヘリオッドの巡礼者》のように設定的な意味でも繋がりのあるカードのほか、《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》や《ダークスティールの城塞》のような独特の能力を持つ再録カードや、《巣主スリヴァー》という五色カードの収録、《新たなるファイレクシアの魂》、《ギルドパクトの体現者、ジェイス》のような以前のブロックのストーリーの続きを示唆するカードなどが盛り込まれている。
基本セットの舞台となるシャンダラーに関する地名以外を排除し基礎的なカードが多数盛り込まれた「基本セット2010」とは対照的に、いい意味で基本セットらしからぬ構成となった「基本セット2015」について考えてみたいと思う。
アーティファクト
セット内容を見てまず目についたのはアーティファクト関連の存在感である。
「基本セット2012」以降は基本セットにも例外的に1枚だけコモンのアーティファクトが収録されたこともあるが、「第6版」~「基本セット2011」と「基本セット2013」で1枚もコモンのアーティファクトが存在しなかったことを考えると、4枚ものコモンのアーティファクトは異例といえる。
単純な枚数として見るとコモンの4枚は確かに少なく、アーティファクト枠でのアンコモンとレアの枚数は近年とあまり変わらず、神話レアも3枚に増えただけではあるのだが、《ダークスティールの城塞》や《爆片破》のような強烈な関連カードの再録によって存在感を確たるものにしている。
新規カードも最速2ターン目に5/5で攻撃することができる《アーティファクトの魂込め》や、アーティファクトに召集を与える《主任技師》、アーティファクトの起動型能力をコピーする《オナッケの古きもの、クルケッシュ》などの個性的な顔ぶれが揃っており、「基本セット2015」の大きなテーマの一つと見ることができる。ドラフトでも青赤アーティファクトが一つのアーキタイプと公式が認識している模様。
《ゴブリンの手投げ弾》が再録された「基本セット2012」では直後のイニストラード・ブロックの存在もあってかスタンダード環境で同居したゴブリンはそう多くはなかったものの、それでも構築実績を残していたことを考えると、アーティファクト関連デッキがスタンダードのカードプールとどう影響し合うのか気になるところである。
他次元のストーリー
「デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ」が公式にMTGの入門編として意識されるようになってからは、基本セットがゲームから紙のマジックへの橋渡しという役割を与えられるようになったことは公式のコラムでもたびたび触れられている。
その過程で基本セットにも対応するストーリーが与えられたり、過去に登場した次元を(各次元の「魂」サイクルのような形で)再度ピックアップする試みも公式記事の「基本の日々 その2」で解説されている。
生けるギルドパクトとなった《ギルドパクトの体現者、ジェイス》、鎖のヴェールの呪いを受けた《頂点捕食者、ガラク》などのプレインズウォーカーや、《守護天使アヴァシン》、《解き放たれし者、オブ・ニクシリス》のような伝説のクリーチャーが本セットの大きな目玉となっている。
召集
キーワード能力やメカニズムの再録は今回もあり、召集とスリヴァーが再登場している。
召集はセレズニア用の能力だったことから白と緑にしか存在しなかったが、今回は全ての色とアーティファクトに登場しており、《召喚の調べ》を代表とした再録カードも存在する。
全体的なデザインの印象としては、巨大なクリーチャーの軽減手段としての側面が強かったラヴニカの時とは違い、色の役割に沿ったカード(白の場合ライフ回復の《瞑想パズル》など)+白、赤、緑の軽量コンバット・トリック+白、緑のトークン戦術になっているように感じた。
個人的には直前のテーロス・ブロックの「神啓」との組み合わせや、部族統一デッキなら全体に+2/+2修正が見込める《ウルドのオベリスク》に注目している。
対抗色ペインランド
基本セットに収録される二色地形のは(全ての二色の組み合わせが登場する場合を除けば)友好のもの色というのが通例になっているが、今回は対抗色のものとなっている。
次のブロックの発売と共に入れ替わりでスタンダード落ちする「ラヴニカの回帰ブロック」は素の前の「イニストラード・ブロック」の時点で友好色・対抗色がどれも平等になるように土地(M10ランドと2色コストの起動型能力土地)が配置されていた。
ラヴニカの回帰でショックランドの登場が遅れた色の組み合わせをテーロスでの占術土地で優遇したように、今回は小神サイクルの登場の遅くなった敵対色の補填をしつつ次のブロックの二色地形を友好色にするための方法だと想像していた。(イニストラード・ブロックのブロック構築での土地基盤が対抗色中心になってしまったというコラムがあったはずなので)
だが次のタルキール・ブロックは対抗3色(アラーラの有効3色の「弧」に対する「楔」の組み合わせ)が中心とのことなので、それを前提とした収録なのだろうと思われる。アンコモンに登場したタップイントライランドの別バージョンが期待される。
タルキール覇王譚では「変異」も復活するとのことなので、多色ブロックとどう共存させていくかも楽しみである。